母方の祖母は生前によく「あたしゃ平泉に行きたいよう」と言っていた。
おばあは平泉というところが、どういうところなのかを知っていたのだ。
ハイカラが好きでインテリなおばあだった。
群馬原町の駅の近くでうどん屋を切り盛りしていた。
私が平泉という場所を意識し始めたのは、二十代も半ばになってからだ。
それまでは、奥州藤原氏と云われても「ふーん」てなもんだったのだが、
「炎立つ」という大河ドラマをみて、認識を新たにし、また、ちょっと感動したのだった。
そんな大昔に、中央に刃向っている人たちがいたというのだ。すごい。反権力だ(ちと違うか)エライ!
それと俘囚ーエミシという先住民がいたということをこのドラマで認識したのだった。
先住民の王国をつくるのだ!征服者と戦うのだ!
で戦争した。そして負けた。
でも再び立ち上がる。
で今度は恭順しているとみせかけて見事王国(極楽浄土)を築くことに成功する。
でも、やがて騙されて滅ぼされてしまう。
もの悲しい物語だ。
その物語の主人公であるエライ王様たちが眠っているのが平泉中尊寺なんだ。
「炎立つ」が放映される前の年におばあは亡くなった。
以来、私はすっかり先住民贔屓になった。
エミシのふるさとみちのくには憧れをもっているのだ。
(つづく)
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