JR福知山線の事故は本当にひどいものだった。事故に遭われてなくなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
さて、今日のNHKスペシャルは事故はなぜ起きたのかを検証するというものだった。横目でみていて全部見てないのだが、この番組がきっかけになって、今回の事故の報道やTVワイドショウの取り上げ方などに対して感想したので、以下に述べるものである。感想は個人的なもので、あらゆる他意は無い。もし気に障った人があったらごめんなさい、と先に言ってしまう。
多くの人々は果たして本当に、事故が何故起こったか物理的人為的な原因を知りたいのであろうか。そうではあるまい。
本当は七面倒臭いものはすっ飛ばして、この事故で誰が一番悪いのか、と云う事が知りたいのではないか。誰かの所為にしたいのではないか。
そして、その悪者を口々に罵ることで、溜飲を下げたいというのが本当のところなのではないか。
報道やワイドショウによれば、脱線のメカニズム等、物理的な事故原因は未だ推測の域を出ずにいるが、人為的な事故原因を、ほぼ運転士の速度超過とする様子である。そして運転士にそうさせた原因を、当該路線の過密ダイヤと、それを維持するためのJR西日本の対応（遅延が起きた際の運転士へのペナルティーなど）なのではないか、と見る様子である。要するに、悪いのはJR西日本である、と。まさにそのとおりなのであろう。
JR西日本は様々な指摘を真摯に受け止め、改善すべきところを改めなければならない。
しかし報道やワイドショウはこんなことも言っている。曰く、JR西日本が、言うならば運転士を鞭で引っぱたきながらでも過密ダイヤの維持に努めていた背景には、競合路線との競争があるからだ、と。
そこで市井にある我等は、JRめ、そこまでして競争に勝ちたいかバカめとJR西日本を罵って溜飲を下げるまえに、少し立ち止まって考えるべきであろう。
そう、そうやって罵る我等市井の人たちが、競争を求めている、ということを。
JR西日本は運転士にわずか1分の遅延も許さないという。同じように私達もJR西日本に対して1分の遅延を許さない。電車が1分遅れて会社に遅刻した、或いは取引先との打ち合わせに送れて商談がパーになった、もう二度と乗るもんか、といって文句を言うのは我々ではないか。
すなわち、事故の遠因は1分の遅延も許されないサービスを求めている我々にもある、ということである。
JR西日本の企業姿勢は批判されなければならない。しかし、批判するほうも、競争を求めていたのは自分達だ、という認識をもった上で議論せねばならぬ。片手落ちになってはならぬのである。--kata
